令和6年度教育民生常任委員会・静岡県袋井市行政視察報告

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教育民生常任委員会視察研修報告

教育民生常任委員会 委員長 林 道夫

令和6年12月1日

視察日程: 令和6年11月5日(火) ~ 令和6年11月6日(水)
視察地: 静岡県袋井市 総合健康センター及び浅羽支所
参加者: 香南市教育民生常任委員会 委員 5人、 議会事務局 職員 2人
視察内容:
    Ⅰ 健康寿命をのばそう!アワードに関する取り組み
    • 「第5回健康寿命をのばそう!アワード(生活習慣病予防分野)」受賞に至る、地域や事業所等との連携
    • 特に地域の自助共助の体制を構築するにあたっての取り組み
    • 受賞後の地域や市民健康づくり人材の活動状況と活動継続・モチベーション維持のための支援策
    • 各種健診・検診受診率向上に向けた取り組みと市民意識の醸成
Ⅱ 第1次袋井市デジタル推進計画について
  • 行政手続きのオンライン化の推進
  • 窓口改革の推進(国保の窓口申請手続きの簡略化等)
  • 保育現場へのICT導入事例

袋井市の概要

 クラウンメロンの産地として有名な静岡県袋井市は、古くから東海道五十三次の宿場町として栄え、遠州灘に面し、美しい茶畑や田園地帯が広がる地域である。
 令和6年4月現在、人口は88,047人で、香南市の約3倍。15歳未満の人口が15%、15~64歳が61%と、二次産業と三次産業従事者が多く、人口増加率は2.4%と現在も増加傾向にある。

ⅰ 袋井市健康づくり計画について

 計画のスローガンは「“健康力”あふれる市民とともにみんなでチャレンジ!」。
 「健康力」とは、「市民一人ひとりが健康に関心を持ち、主体的に健康づくりを実践し、継続する力」を指す。
 計画では、行政だけでなく、地域や事業所などの協力による互助・共助による健康支援の環境整備が大切であると強調している。
 計画全体を通して、市民の意識と協力を呼びかける姿勢が強く、主語が行政ではなく、市民を主語とした文章が目立つ。
 袋井市の現状分析は、香南市と共通点も多いが、生産年齢人口の割合が多いことから、子どもの肥満割合や女性の運動習慣、20~40歳代の心理的苦痛を感じている人の割合の多さに注目し、若い世代の健康意識の向上と行動変容を促すアプローチの必要性を掲げている。
 各方針における特徴的な取り組みは以下の通り。

方針1:胎児期からの健康づくり
  • 取組1:子どもの健康教育の推進
    • 教育機関と連携した生活習慣病予防講座の実施
方針2:生活習慣の向上と早期発見、重症化予防による健康づくり
  • 取組1:適正な栄養・食生活の知識の普及と実践
    • 地域や店舗などと連携した健康教育、啓発活動の推進(健康保険室、ベジチェックなど)
    • 働く世代への健康的な食習慣の推進
  • 取組2:適度な身体活動と運動習慣の定着
    • ウォーキングを中心とした健康づくりを楽しむ環境の創出(ふくろいウォーク、フッピーポイント事業など)
  • 取組6:検診体制の充実
  • 取組7:生活習慣病の重症化予防の推進
方針3:多様な主体との連携による健康づくり
  • 取組1:地域との連携強化・社会参加の推進
    • 地域が進める健康づくり活動への支援(地域の自主的な要望から実施する健康教室など)
    • 地域の健康づくり人材の養成と健康づくり活動の推進(健康応援サポーター、健康保健室など)
  • 取組2:働く世代の健康増進・企業等との連携
    • 事業所での健康教室、各種健康教室の実施、健康情報誌「I健康アップ通信」の発行

1. フッピー健康ポイント事業・健康マイレージ制度

 平成19年度に全国に先駆けて開始された「健康マイレージ制度」は、「市民の脂肪を買い取る」という発想で、市民が健康行動を実践することによりポイントを獲得し、公共施設サービス券などと交換できる制度である。
 2年後には携帯電話のアプリ版「e-すまいる」を導入し、より利便性を高めた。
 高知県の健康パスポートと基本的な仕組みは同様だが、市独自のアプリであるため、柔軟な機能追加や更新が可能である一方、メンテナンスの職員負担も伴う。
 機能面での特徴は、地域貢献やまちの活性化に繋がるメニューが豊富であること。例えば、ポイントを保育・学校への寄付や、金券的なクーポンに交換することができる。
 また、マイページ機能では3年間分の健診結果(検診結果を入力するとポイント獲得!)を比較できるため、健康状態の変化を把握しやすくなっている。この機能は、高知家健康パスポートにはないと思われる。
 ポイント交換先では、民間ストアの金券的なクーポンが人気で、特に働く世代(30~50代)の登録が多いことから、健診受診率の低い層へのアプローチツールとして期待されている。
 本市においても若年世代絵のアプローチツールとしての活用が期待されているが、一方では、アプリ化に伴い、スマートフォンを持たない人への対応が課題となる。 アプリの登録者数からみても、スマホを使わない人々に対するアプローチメニューも別に設けておく必要がある。

2. 各種健診・検診受診率向上に向けた取組と市民意識の醸成

 袋井市では、商業施設や地域、自治会などとの連携による啓発活動を通じて、市民の健康意識向上に努めている。その結果、検診受診率は静岡県内はもちろん、全国でもトップクラスを維持している。
 レセプト等の分析により、特定健診受診者が未受診者よりも医療費が低く、生活習慣病が重症化するほどその差が拡大することが明らかになり、特定健診を継続的に受診し生活習慣病を早期に発見することの重要性が改めて示された。そのため、受診票に改善事例を同封するなどの市民への啓発活動を行っている。
 また、ナッジ理論を活用し、受診を促すための工夫も行っている。例えば、開きたくなるような封筒や行動をシンプルに促す案内通知の作成、勧奨葉書が届くタイミングでの電話確認など、様々な手法が実践されている。
 本市でもAIを活用した対象者のグループ分けとタイプ別のアプローチにナッジ理論を活用し取り組んでいるが、受診勧奨のみならず特定保健指導や未利用者へのアプローチ、市民の意識・行動変容にもナッジ理論を研究し、一層の活用拡大が期待される。
 また、大腸がん検診においては、健診案内時に容器も直接送るようにしており、容器代を負担することにはなるが、効果は上がっているとの話があった。
 話を聞く中で、人口の割に担当課の職員数は決して多いわけではないが、とにかくきめ細かく対象者へのアプローチをしている印象が伝わってくる。
 大腸がん・胸部検診などは聖隷袋井市民病院での施設型を実施しており、市民の安心感・抵抗感も低くなり、受診率の引き上げにつながっているものと考える。
 本市には市民病院はないので、市内の民間病院や近隣の中核病院などとの連携方法について群医師会の意見を聞きながら、できることを研究していくことも必要か。

※ナッジ理論:
 行動科学に基づき、小さなきっかけで人々の意思決定に影響を与え、行動変容を促す手法等

3. その他、地域や事業所等との連携

(1) 袋井市版健康アンバサダー「健康応援パートナーズ」

  • 教室等で得た健康情報を、周囲の人々に口コミやチラシなどで積極的に伝えたり、教室運営の手伝いを行うボランティア
  • 養成講習の受講により就任し、活動によりポイントが付与される。(1活動1ポイント100円)
  • 現在42名が活動しており、40代の方も活躍中

(2) 健康保険室

  • 市の健康課題への対策として、まちづくり協議会と連携して、地域の意向を踏まえたテーマで一緒に健康づくりを進める。
  • 高血圧予防講座、骨健康度測定、健康測定会、健康体操などを実施
  • 健康づくり推進員や食生活推進員、健康応援パートナーズ等が協力
  • 令和5年度は年間70回開催、1,947人が参加。

(3) 野菜いっぱい運動

①野菜いっぱい飲食店の紹介
 外食でももっと野菜を食べてもらうよう、1食分のメニューに野菜が120g(1日の1/3量)以上含む料理に「野菜いっぱいマーク」をつけ市のホームページで紹介。
②みんなのよりみち保健室
 商業施設等で、ボランティアの協力のもと1日に摂りたい野菜摂取量350gをクイズ形式や、野菜のフードモデルで見せて伝える。(ベジチェック(推進野菜摂取量測定)
③ふくろいサラダ事業
 野菜摂取量が少ない若い世代の野菜摂取の意識の向上と野菜摂取量の増加を目的に、市内の大学で野菜料理1品(70g)を無料提供する日を設ける。

 ベジチェックを使用しての推定野菜摂取量の測定を行って1日の野菜摂取量を分かりやすく啓発する取り組みはとても興味深い。言葉がけも、「もう少しやさいを食べなくちゃダメ!」ではなく、「…もっと食べれますよ。」という感じで、野菜を摂取しようという意識づけの効果を実感した。

(4) 民間事業書等との連携

  •  経済産業省が推進する企業等の「健康経営」を支援し、袋井市として「健康経営チャレンジ事業所」の認定を行う。
  • 市からの健康に関する情報サービスを月1回程度配信したり、事業所における健康教室開催等を支援している。
  •  健康経営は主に健保組合に加入する大・中規模企業の取り組みになるため、国保に加入する小規模・個人事業者などへの取り組みは商工会と連携し、これから取り組むところだとのこと。本市としても取り組みが必要と考える。

考察

 今回の視察では、静岡県にはお茶の文化が根付いているように、袋井市の市民は、長い歴史の中で健康に対する意識を高め、持続的に健康活動を行ってきたことが伝わってきた。
 特に、合併前の浅羽地区では健康意識が高く、「検診は受けるもの」という風潮が根付いており、受診率は約7割を誇っており、公民館活動やコミュニティでの健康づくりに関する取り組みが地道に続けられていることが、現在の高い検診受診率の維持につながっていると考えられる。
 本市としても、市民を巻き込み、健康に対する意識をさらに高めていくことが重要である。そのためには、まちづくり活動や地域行事、商業施設・店舗と連携し、「健康は自分事」という意識を醸成していくことが不可欠となる。特に、どの世代を対象とした事業なのか、ターゲットを明確にし、目的をしっかりと職員間で共有することが大切となる。
 さらに、ナッジ理論などの活用を拡大し、制限ではなく誘導、マイナスではなくプラスの誘因によって、市民の意識を行動へと促すアプローチ手法の研究が有効と思われる。
 袋井市の取り組みから学ぶべき点は多くあり、今回の視察研修を参考に、本市としても市民一人ひとりが健康に関心を持ち、主体的に健康づくりを実践できるよう、引き続き研究していきたい。

ⅱ 公立幼稚園・認定こども園の園務支援システム導入について

1. 園務支援システム導入の経緯

 袋井市では、認定こども園化の中で、職員の勤務時間帯にばらつきが出て職員相互の交流が希薄になる傾向が出てきた。また、インクルーシブ教育の中で国籍の違う園児や保護者との意思の疎通の課題が顕在化し、保育の質の維持と保護者へのサービス向上を図るとともに、職員の事務作業の負担軽減と、保育者と保護者間の円滑な情報共有を図ることが求められていた。
 これらの課題解決を目的として、平成29年度から段階的に園務支援システムの導入が進められてきた。

2. 導入の目的

事務作業の効率化:
 帳票作成、連絡帳管理、料金計算などの事務作業を自動化し、保育者にこどもと関わる時間を戻す。
保護者との連携強化:
 おたより配信機能などを活用し、保護者とのコミュニケーションを円滑化。
保育の質向上:
 保育記録の共有、教員間の連携強化により、保育の質向上を目指す。
安全な保育環境の構築:
 午睡チェックセンサーなどの導入により、子どもの安全確保に努める。

3. システムの主な機能と効果

  • 従来のシステムは、職員室のパソコン1台で管理するようになっていたが、職員一人一人にiPadとiPhone端末を貸与することにより、随時様々な事務作業を行えるようになった。
  • ICTの活用により、観察 → 発見 → 記録 → 共有 → 対話を繰り返し、子どもの姿をもとに日々検証を重ねながら保育改善を行い、教員の資質向上にも繋がる。

(1) 保育ドキュメンテーション・連絡帳機能

  • 文字だけでなく動画や写真、音声で記録・共有できる。
  • 記録したドキュメントは保護者向けと園内向けに切り分けられ、園長が見れる部分、職員相互が見れる部分、保護者が見れる部分など階層的な情報共有が図れる。
  • 園長や先輩・同僚職員が、他の保育士の記録を見ることで、助言やサポート、取り組みを参考にすることなどもできる。
  • 従来は月末に園だよりを発行する形だったが、毎日・随時保護者等に園の様子や情報を届けられる(園だより作成の手間も軽減される。)
  • 登園前に保護者からの連絡を確認できるため、子どもの体調不良などに対応しやすくなった。
  • 保護者とのコミュニケーションが円滑になり、子どもの様子をリアルタイムに共有できるようになった。

(2) 登降園管理機能

  • 登降園時間の記録が正確になり、預かり保育やおやつなどの料金計算の誤りを防ぎ、請求事務にスムーズにつながる。
  • 在園児数の確認が容易になり、置き去り防止に繋がっている。

(3) 帳票管理機能

  • ドキュメンテーションの作成が容易になり、子どもの成長を詳細に記録できるようになった。
  • 保育記録の作成、共有が効率化され、教員間の情報共有が促進された。

(4) おたより機能

  • 毎日の子どもの様子を写真や動画で共有することで、保護者の安心感に繋がっている。
  • 保育士にとっては保育の振り返りに活かせるし、保護者にとっても園での子どもの姿を想像しやすくなる。
  • 保護者への情報発信が円滑になり、家庭との連携が強化された。

(5) 午睡チェックセンサー

  • うつ伏せ寝の検知や呼吸の確認が自動化され、より安全な午睡環境が実現されている。
  • 保護者も状況を共有できるので、園児が昼間どれだけ眠れたのかが家庭でもわかり家庭保育での支援にもつながる。
  • 午睡中の子どもの安全確保に繋がり、職員の負担軽減と保護者の安心感にも貢献している。

4. 導入効果と課題

  • 職員としては、事務作業の負担が軽減され、保育に集中できるようになった一方で、職員によっては、システム操作に慣れるまで時間がかかったり、機能の改善・追加に費用がかかるために従来の紙ベースの処理と併用を強いられるものもある。
  • 保護者としても、園での子どもの様子を詳しく知ることができ、安心感につながっているとの感想も多いが、システム操作が苦手だったり、セキュリティー・プライバシー面で不安を持つ保護者もあり、システムの操作で対応できるもの、紙ベースで個別対応すべきものなどあり、実際の運用では注意を要する。

5. 考察

 袋井市の園務支援システム導入事例は、DX化による保育の質向上と職員の働き方改革が両立できることを実感できた。保育現場においてICTを活用することで、事務作業の効率化と職員の負担軽減が図られ、保育士が子どもと直接関わる時間の増加や保護者とのコミュニケーションの深まりがイメージできた。
 一方で、システム導入にはいくつかの課題も存在する。特に、システムの性質上、一度導入するとデータの引き継ぎや操作性の問題から、システムベンダーの切り替えが難しくなるため、慎重な選定が必要となる。また、システムの操作に慣れるまでには時間がかかるため、職員全員がスムーズに活用できるよう、十分な研修とサポートが求められてくる。
 やはり、現場の職員がうまく活用できることが最も重要であり、本市でのシステム導入に際しても、現場の職員や保護者の声をしっかりと聞き、現場のニーズに合ったシステムを選定することが最も大切と感じた。これにより、保育の質を高め、職員の働き方を改善するという効果を現場でも最大限に実感することができるであろう。
 また、保護者の中には、システム操作に不慣れな人や、セキュリティやプライバシーに不安を感じる人もいる。こうした不安を解消するためには、システム導入の目的やメリットの周知のみならず、システムの使い方や安全性についての情報を保護者にも十分に提供し、安心して利用できる環境を整えていくことが重要である。

ⅲ 袋井市のデジタル化の取り組みについて

1. 基本方針

 袋井市は、「みんながデジタルを使いこなして笑顔で豊かな生活を実感できる」という基本方針のもと、市民生活の質向上、地域の課題解消、行政の業務刷新の3つの柱でデジタル化を進めている。
 特に、窓口改革では、マイナンバーカードの活用による本人確認の簡素化、電子申請の推進による手続きの効率化、そして「らくらくサポート窓口」の開設による市民へのきめ細やかな対応など、多岐にわたる取り組みが実施されている。

市民生活の質向上~市民一人ひとりにやさしく~
デジタルを使いこなして、少子化や高齢化などに起因する様々な地域課題を解消するとともに、人と人とのつながりを深めることで、地域を活性化し、住みよい、魅力的な地域を創ります。
地域の課題解消と魅力向上~魅力あふれるまち~
デジタルを使いこなして、どこでも、いつでも、市民一人ひとりがニーズに合った行政サービスを受けられることで、市民の誰もが、便利で豊かな生活を実感できるようにします。
行政の業務刷新~市民の利便性向上と業務の効率化の両立~
デジタル使いこなして、これまで以上に行政事務を効率化するとともに、コストを削減するなど市役所業務を刷新することで、持続可能な行財政運営に取り組みます。

2. 行政手続のオンライン化の推進

 マイナンバーカードのメリットや安全性を丁寧に周知し、市民のカード取得を促すとともに、日常生活での利用機会の拡大に取り組みます。 → 電子申請や市税等のオンライン納付の推進

(1) 電子申請推進部会

  • 外部(民間)人材の積極的な活用
  • 内閣府のデジタル専門人材制度等を活用して、令和6年度は、 5人の民間人材を登用し、市の重要取組にあてるなど、デジタル化の推進を図っている。
  • 窓口改革推進プロジェクトや中小企業デジタル化支援、デジタルデバイド対策、電子申請推進プロジェクト、GISプロジェクト、自治体システム標準化・共通化プロジェクトなど
  • 庁内各課の横の連携により、オンライン化できていない申請手続きをオンライン化するように相互支援

(2) 国の「ぴったりサービス」は主に、子育て・介護・災害時の申請手続。

  • 住民記録との突合はマイナンバーカードにより申請管理システム経由で可能。
  • 決済機能はない。

(3) 民間の「スマート申請」は申請範囲も不問(拡大可能)。

  • 本人照明でマイナンバーカードは使用するが、住民記録との突合は不可。
  • クレジットカード等による決済機能もある

4. 窓口改革の推進について

(1) 袋井市が今後直面する課題

  • マイナンバーは、カードの交付率が80%を超え、今後はカードの活用推進が必要
  • 市民の、日常生活におけるデジタル技術の利用が進み、デジタル化を実感する市民の割合は約8割に達する一方、世代間におけるデジタルデバイドが散見
  • 市民は、行政のデジタル化について「行かない市役所」や「書かない窓口」によるサービスを期待
  • 市職員は51~55歳のボリュームゾーンが95名、全体の20%を占める。
  • 今後、定年退職者が増えると見込まれることから、持続的な市民サービスの維持・向上のため、業務効率化が急務

(2) 住民窓口の多様化モデル構築事業

  • 自治体システムが保持するデータの活用で、住民サービスの向上と職員の負荷の軽減
  • 複数の自治体連携による行政事務の標準化、システム共同利用、共同BPOの推進
    • 複数自治体で共用できるサービスの基盤部分は、愛媛県が構築
    • 窓口の多様化は、愛媛県今治市、鹿児島県阿久根市、静岡県袋井市でそれぞれ実施

(3) らくらくサポート窓口の開設

 「らくらくサポート窓口」では、マイナンバーカードを用いた本人認証や、申請サポートプラス機能による自動入力などにより、市民はスムーズに手続きを行うことができる。
 また、コンシェルジュによる丁寧なサポート体制も整っており、デジタルに不慣れな市民も安心して利用できる環境となっている。

  • 「手続きは迅速かつ簡単に、相談にはより丁寧に寄り添いながら」をコンセプトに。
  • マイナンバーカードを利用して簡単に本人を認証し、最低限の情報で素早く申請書が完成できる。
  • 新たな窓口のコンセプトは「簡単な事はより簡便に、複雑な事は一緒にひもといて」
  • 市役所は単なる手続きの場から多様な市民とのつながりの場へ → 笑顔が溢れるカフェのような居心地
  • 電子申請が不安な市民にも安心して利用してもらえるようコンシェルジュ(外部委託のスタッフ2人)を配置
  • 手続ナビシステムにより、申請案内が平準化されるため、BPOによる受付を実現
  • マイナンバーカードをセットし暗証番号を入力したら、後はコンシェルジュからの質問に答えるだけで、申請者に必要な手続きが絞られ・案内される。 → そのまま申請手続きに移行可能
らくらく窓口証明書交付サービス
 窓口端末から利用者がコンビニ交付と同じ手順で画面を操作すると、待ち時間なしで証明書交付作業が円滑に行え、証明書が自動交付できるサービス
らくらくサポート窓口コンシェルジュ
 デジタルに不慣れな市民でもコンシェルジュスタッフが用件をデジタルでもアナログでも伺い、その方に必要な申請などを案内する。
申請者手続きナビ
 マイナンバーカードの認証機能により、本人の情報をプリセットし必要な手続きを案内する。
申請サポートプラス
 マイナンバーカードで個人認証し、市が持っている住民情報(住基システム等)を活用することで、申請項目の内容が申請書に自動転記されるため、申請者本人は窓口でも自宅からでも、最小限の入力項目で申請できる。

(4) 快適な窓口空間づくり

  • 従来の窓口イメージは、市民にとっては「何度も書く。」、「移動する。」、「待たされる。」、職員にとっては、「何度も聞く。」、「待たせる。」、「窓口対応時間が長くかかる。」
  • 窓口という概念からの変革 → 向かい合いから寄り添いへ → 簡単な事はより簡潔に・複雑な事は一緒にひも解いて
  • 笑顔が交わるCafeのようなイメージで、「書類を提出する場所」から「必要なコンテンツを探し出す」へ
  • 来庁者が最初に出会う場がコンシェルジュカウンターであり、ユニバーサルデザインに配慮したハイ・ローカウンターで構成
  • コンシェルジュは来庁者に一早く気付き、コーナー中の声かけにも気を配れる。

(5) 窓口改革に取り組んでみて、今思うこと。

  1. 担当課では、必要としていなかった。(今じゃないよね。)
    • To-Beを担当課と共有するのは、難しい。。
    • ⇒ “1”にも“2”にも、担当課とヒアリング
    • ⇒ それでも難しいときは、先に構築して、ある程度カタチにして共有することも。   
  2. 効果的な窓口改革には、バックヤードの見直し
    • ⇒ 市民サービスの向上は重要。なおさら、職員の業務効率化が大事!
  3. システム標準化に向けて、できることから準備
    • ⇒ 変化の激しい分野ではありますが、自治体システム標準化に備え、窓口改革の準備
  4. マイナンバーカードの活用促進
    • ⇒ カードの持ち歩きを周知。活用シーンが増えることで便利を実感。
  5. これからの窓口を考える。
    • ⇒市の窓口をどうすべきか、みんなで考える。私たちも、まだまだ道半ばです。。

考察

 視察を通して、袋井市が市民サービスの向上と職員の業務効率化を両立させ、デジタル化を推進している現状を肌で感じた。本市にとっても、「らくらくサポート窓口」のような市民に優しい窓口の創出は、今後の行政サービスのあり方を見直す上で参考となる。
 マイナンバーカードを活用した電子申請の推進による手続きの効率化が進められており、デジタルに不慣れな市民にはコンシェルジュスタッフが寄り添い型でサポートし、デジタルに抵抗感の少ない市民は窓口でも自宅でも迅速かつ簡便に手続きを行うことができ、行政サービスの利便性の向上を体感できるようになっている。
 本市でも、市民サービスの向上と業務効率化を図りながら、デジタルが得意な人のDX化ではなく、苦手な市民でも利便性やメリットを享受・実感できるようなDX化が推進されるよう、今後も研究していきたい。

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