四国地方整備局高知河川国道事務所による直轄海岸保全施設整備事業香南工区説明会開催

 令和7年4月に香南工区(吉川海岸、赤岡海岸、岸本海岸)が、新たに国の高知海岸直轄海岸保全施設整備事業に編入されました。
 12月23日の12月議会終了後、四国地方整備局高知河川国道事務所による直轄海岸保全施設整備事業「香南工区 地震・津波対策説明会」が開催され、現状と今後のスケジュールなどについて説明を受けました。

1. 香南工区の地震・津波対策の現状

■ 近年の災害と堤防の状況

 近年の台風や高潮で、香南地域の堤防は複数回にわたり越波・浸水被害が発生しており、2024年の台風では、香南工区でも越波が確認され、堤防の高さ・強度の見直しが急務となっています。
 これらの経験を踏まえ、今後の対策は「実際の被害を踏まえた現実的な強化」が軸になってきます。

■ L1津波対策(命を守る対策)

 香南工区では、まず「L1津波(比較的頻度の高い津波)」に対する命を守る対策が重要になってきます。

  • 堤防の強化
  • 耐震補強
  • 越流対策(ブロック設置など)

 これらにより、住民が避難するまでの時間を確保し、浸水被害を最小限に抑えることを目的としています。

■ L2津波対策(最大クラス津波への備え)

 「L2津波(最大クラス)」に対しては、堤防だけで守り切ることは困難なため、避難を前提とした対策が重要になってきます。

  • 避難経路の整備
  • 避難タワー・避難場所の確保
  • 住民への周知と訓練

 特に香南工区では、最大約3,000人規模の避難が想定されており、避難行動の確実性が重要視されています。

2. 今後の整備スケジュール

■ 2025年度~2026年度:設計・詳細調査

  • 堤防の高さ・構造の最終設計
  • 地盤調査や浸水シミュレーションの再評価
  • 住民説明会の継続開催

■ 2027年度~2030年度:工事着手・段階的施工

  • 香南工区の堤防強化工事を順次開始
  • 越流対策ブロックの設置
  • 避難経路の整備と標識の更新

■ 2031年度以降:全体完成・運用フェーズへ

  • 堤防の完成
  • 避難計画の見直しと訓練の定着
  • 地域防災力の強化(住民参加型の訓練など)

※スケジュールは国の予算状況や災害発生状況により変動する可能性があります。

 国の直轄事業といっても、予想される最大津波(L2)を防ぐものではなく、しかも工期が20年以上に及ぶことから、やはり地域の地震・津波対策は避難対策と両輪で進めていくことが重要だと再認識しました。
 国にしっかりと予算を確保してもらうとともに、県営事業との連携を図り、計画通りに事業を進めていただくことが重要です。特にL2津波に対しては「避難が命を守る唯一の手段」であるため、避難路や高台の整備、日頃の備えや訓練など、住民一人ひとりの理解と行動が不可欠であることがわかりました。

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