学校給食における食品ロスの状況と削減への取り組み! ~ 一般質問
3月議会では、「学校給食における食品ロス削減への取り組み」に関する一般質問を行いました。
近年、SDGsへの関心の高まりや物価高騰による食材費の増加を受け、学校給食における食品ロスの現状把握、費用負担、そして具体的な削減・リサイクルへの取り組みについて、市の方針を確認しました。
1.学校給食の食品ロス状況は?
- 【質問】
香南市学校給食における児童生徒の食べ残しと、給食調理時に発生する残渣の状況はどうか? - 【学校教育課長答弁】
- 児童生徒の食べ残し(残食率・残食量):
- 幼稚園の食べ残し量は計量していないが、小中学校では計量している。
- 2024年9月~2025年1月の直近5か月の平均残食率は約11.8%
- 月別では9.3%~11.8%で推移。
- 直近5か月の平均残食量は、1か月当たり2,065kg。
- 年間児童生徒1人当たりの食べ残し量は10.1kgという資料がある(国の調査の17.2kgよりは少ない)。
- 給食調理時に発生する残渣:
- 平均すると15kg程度(多いときで45kg)だが、調理残渣量については試験的に一部計測した数値であり、定常的な計上はしていない。
2.給食食材料費の保護者「給食費」と公費負担の状況は?
(1) 近年の給食食材料費に対する保護者負担(給食費)と公費負担の状況は。
- 【質問】
学校給食法に基づき食材料費は保護者負担とされているが、近年の物価高騰等により「給食費」で賄えない部分について、公費(市費)による負担の状況と推移はどうなっているか? - 【学校教育課長答弁】
- 保護者負担(給食費):
- 幼稚園は2019年10月より無償化となっている。
- 小学校は1食当たり270円、中学校は1食当たり300円で維持している。
- 公費負担の状況(食材費):
- 給食食材費に関わる公費充当額は年々増加している。
- 2022年度:約625万円
- 2023年度:1,625万円
- 2024年度(見込み):**約2,800万円程度**
(2) 今後も食材料費の高騰は続くと考えられるが、今後の保護者・公費負担の考え方は?
- 【質問】
食材料費の高騰が続くと考えられる中、今後の保護者・公費負担の方針はどうなっているか? - 【学校教育課長答弁】
- 保護者負担額については、できる限り現状の負担額を維持する方針で、今以上に負担をお願いすることのないよう考えている。
- 教職員の給食費については、適正な負担とするよう、2025年度中に検討することとしている(2025年2月の給食センター運営委員会で、教職員の給食単価見直しの方針が示されている)。
3.食品ロス削減への取り組みは?
(1) 児童生徒の食べ残し削減への取り組みは?
① 献立や調理の工夫など
- 【質問】
献立や調理において、食べ残し削減のためにどのような工夫をしているか。 - 【学校教育課長答弁】
- 味付けや調理の工夫: 幼稚園から中学校まで提供するため、辛さなどの味付けを工夫。食べやすいように食材の大きさを考慮し、見た目もおいしそうに見えるよう丁寧に調理・配食している。
- 献立の改善: 毎月2品程度、新メニューや数年ぶりのメニューを導入し、給食を楽しめるようにしている。
- 残食分析: 残食量や残食率から苦手なメニューを分析し、献立の組み合わせ変更や量の調整を行っている。
- 児童生徒の意見聴取: 栄養教諭がクラス訪問時に食べたいメニューを聞き取り、献立に反映する工夫をしている。
② 現在の栄養教諭の人数と食べ残し削減に向けた栄養・食育指導等の実施状況
- 【質問】
現在の栄養教諭の人数と、食べ残し削減に向けた栄養・食育指導の実施状況はどうか。
また、2025年度からの体制はどうか。 - 【学校教育課長答弁】
- 現在の体制(2024年度): 栄養教諭は計3名(小学校・中学校に所属)、市の栄養士1名(主に幼稚園を担当)。
- 指導の実施状況:
- 小中学校: 定期的に給食指導を実施(所属校は年3回以上、兼務校は年1~3回)。食器への盛り付け量や盛り方のアドバイス、食材の説明、一口でも食べてみようという啓発を行っている。
- 幼稚園: 市の栄養士が各クラスに年2回の給食訪問を実施。絵本やクイズで食への興味を持たせ、自分で決めた量を食べ切ることを目標に取り組んでいる。
- 共通: 給食センター見学を受け入れ、調理員の様子や施設を見学することで、給食への意欲につなげている。
- 今後の課題(2025年度): 国の配置基準により、栄養教諭は1名減の2名体制となり、1人当たりの担当クラス数が増えるため、これまでと同様の給食指導が難しくなることが課題。
③ 各学校等の取り組みと成果
- 【質問】
各学校等での継続的な食べ残し削減への取り組みと、その成果はどうか。 - 【学校教育課長答弁】
- 具体的な取り組み事例:
- 香我美中学校: 給食カレンダーに日別の残食率を掲示板に貼り出し啓発。アンケートも実施し生徒のニーズ把握に努めている。
- 野市中学校: 生徒主体の発案で牛乳の飲み残し削減キャンペーンを実施し、実際に飲み残し量が減少。
- 全小中学校: 委員会・生徒会活動で、給食時の放送で残さず食べる呼びかけ。
- 配膳時: 食缶への盛り残しや欠席などで給食が余る際は、おかわりや全体への追加配食を行う。
- 成果:
- 香我美中学校では、残食率の掲示前後で、残さず食べる生徒が10.8ポイント増加し、「時々残す」生徒が10.8ポイント減少したという成果が報告されている。
(2) 給食調理時に発生する残渣削減に向けた取り組みは
- 【質問】
給食センターでの調理時に発生する残渣削減に向けた取り組みはどうか。 - 【学校教育課長答弁】
- 香南給食センターでは、約2,900食を調理しており、時間内調理を達成するため機械を使用しているが、機械だと食材ロスが多く出る傾向にある。
- 当日の取扱量にもよるが、できる限り手作業での皮むきやカットを行い、残渣削減に努めている。
4.食べ残しや調理残渣の処理状況
(1) 給食センターにおける食べ残し・調理残渣の処理費用の状況は?
- 【質問】
給食センターにおける食べ残し・調理残渣の現在の処理費用はどうか。 - 【学校教育課長答弁】
- 現在は、全て可燃ごみとして収集処分している。
- 香南学校給食センターの年間収集委託料は52万8,000円となっている(ごみ焼却に係る費用は別途、香南清掃組合に市全体の負担金として納められている)。
(2) 堆肥・液肥化や登録再生利用事業者への持ち込み等リサイクルへの取り組み研究は?
- 【質問】
食べ残しや調理残渣について、堆肥・液肥化や登録再生利用事業者への持ち込み等、リサイクルへの取り組み研究はどうか。 - 【学校教育課長答弁】
- 生ごみ処理機: センターに処理機はあるが、現在は稼働させていない。2024年11月~12月に試験稼働を行った結果、取り出し量は10分の1になるものの、電気代(月18万円程度)、投入資材費、保守点検料が発生し、財政負担が大きく、また投入量にも限りがあるため、課題が多いと判断された。
- 今後のリサイクルへの取り組み:
- 登録再生利用業者への持ち込み等のリサイクルへの取り組みについても、給食の食べ残しに対応できる業者の研究やコスト面を含め、今後、情報収集しながら考えていきたい。
- まず、献立・調理の工夫や食育指導の充実により、食べ残しの削減を図る。
- 【要望】
フードドライブや子ども食堂への活用、国などの補助金活用も視野に入れ、コスト面だけでなくSDGs、環境教育の面からもリサイクルを研究してもらいたい! - 【学校教育課長答弁】
コスト面だけではなく、議員の提案も含め、今後、情報収集しながら対応できるよう検討していく。
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