条例制定の時期とろう者や手話に対する理解促進策は! 香南市手話言語条例
【質問の要旨】
手話言語条例の制定について
(1) 制定の時期と現時点で想定される条例の構成は。
(2) 当事者団体や関係団体等からの意見聴取と反映は
(3) 条例制定をきっかけに、さらなる手話及び「ろう者」への理解を深め、手話の普及啓発と地域共生社会の実現を目指していく必要があると考えるが、その取り組みは
ア) 市役所及び保育所・学校等
イ) 市民や事業者、地域等
【一般質問本文】
◯林道夫議員
手話については、ろう者や難聴の方の社会参加、日常的なコミュニケーションの大事な言語であります。本市においても、様々な講演会やイベント等での手話通訳者の配置や手話奉仕員の育成、講習会の開催、職員の方の手話研修への派遣等していることは承知をしております。
この条例制定については2014年の12月議会で宮崎議員から、そして昨年の9月議会には馴田議員から質問がなされております。そのときの福祉事務所長の答弁としては、条例を制定するとともに、市民への普及啓発と行政の取組等を前向きに検討していくというような答弁だったかと思います。そこで、それ以降の取組についてお伺いをするものであります。
現在、香南市における手話言語条例制定の時期としてはいつ頃を考えているのか、また、各自治体で先行するところの条例等も見せていただきましたけども、現在想定している香南市の手話言語条例の構成についてはどのように考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。
◯福祉事務所長
香南市手話言語条例の制定につきましては、令和6年4月1日制定を目指して準備を進めており、3月議会に条例案を提出したいと考えております。
条例の構成としましては、第1条で条例制定の目的、第2条で用語の定義、第3条で基本理念を定め、第4条は市の責務、第5条と第6条で市民、事業者の役割を定め、第7条で推進する施策を定めるといった構成を考えております。
◯林道夫議員
6年4月というのは今度の3月議会ということですよね。そうなるといろんな準備等もあるでしょうけども、やっぱり条例を制定するとともにいろんな意識改革じゃないですけど、周知を図っていくようなことも必要かと思うんですけど、ちなみに、様々先行している自治体で手話言語条例というのがあるんですけども、幾つか、例えばどこを参考にしたとか、そんなものがあれば教えていただきたいんですけど。
◯福祉事務所長
香南市の手話言語条例の制定につきましては、県内で条例を制定しています自治体、高知市ですとか佐川町、土佐市、四万十市、土佐清水市、安芸市、南国市、それぞれの条例を参考にし、それと全国の聴覚障害者協会が出しております条例案というのも参考にしながら作成をしております。
◯林道夫議員
一般的に、後から出すほどハードルが上がってくるかと思いますので、各先行自治体とか、それを受けての当事者団体の声とかいうのも反映しながら、よりよいものをつくっていくことは大事だと思います。
次、障害者権利条約のスローガンにも「“Nothing About Us Without Us”(私たちのことを、私たち抜きに決めないで)」というようなスローガンがありますけども、まさに条例制定、そしてそれ以降のろう者や手話の趣旨普及であったり啓発をしていく上で、やっぱり当事者の声というのをしっかりと反映していくことが大事だと思うんですけど。
提案は来年3月議会ということなんですけども、当事者とか関係者の声の集約と反映のことについては、どのように取り組んでおられるでしょうか。
◯福祉事務所長
条例の制定に当たり、手話を言語とするろう者が地域で生活をする上でどのような不便さを感じているか、どのような地域社会であったらよいかなど、現状を把握し、条例の内容に反映させるとともに、条例制定後の普及啓発などの取組に活かしていくため、高知県聴覚障害者協会と香南市内で活動する手話サークルにご意見をお伺いしました。
お伺いしましたご意見を踏まえて条例案を精査するとともに、来年度からの取組についても活かしてまいりたいと考えております。
◯林道夫議員
来年3月の議会に提案されるということで、議会のほうとしても、精査する上でいろんな意見というのも大事だと思うんです。特に当事者団体とか手話サークルとかそんなところから出されている意見とかで、もしそれぞれ目立ったものを紹介いただきたいと思いますけど。
◯福祉事務所長
聴覚障害者協会と手話サークルのほうにご意見をお伺いしましたところ、出された主な意見としましては、条例の内容も大事であるが、それ以上に条例制定後の取組が大事ではないかというご意見で、手話に触れる機会を増やしてもらいたいということで、ほかの自治体では、ワンポイント手話を広報とかホームページに載せたりということで手話に触れる機会を増やしたりということがあるので、そういうところも参考にしながら取り組んでいただきたいということですとか、手話奉仕員の養成につきましても、手話を言語とするろう者が社会参加をしていくためには手話通訳者が必要であるので、引き続き手話奉仕員の養成についても行っていただきたいということ。
それと、一番の希望としましては、市役所などの行政機関に手話通訳者を配置すること。なかなか財政面も考えると難しいと思われるので、2番目には、手話で対応できる人が増えてほしいであるとか、それが難しいなら、せめて手話ができなくても、ろう者や聴覚障害者に対して理解して対応できる人が増えてほしいといった内容のご意見が聞かれました。
◯林道夫議員
本当にこの条例制定というのはあくまでもきっかけであって、それを機に市民であり地域であり企業であり、また行政や学校等においても様々な取組というのをしていくことで、ろう者の方々が社会参加しやすいような環境というのをつくっていくことが、条例制定よりももっと大事なことだと思うので、先ほどの声なんかも含めてですけども、現時点で地域や行政、学校、企業等において、より推進していくためにの考えられている取組があるようでしたらお願いいたします。
◯福祉事務所長
現在、市役所での取組としましては、ろう者や聞こえにくい方が窓口で円滑に意思疎通が行えるように、音声を文字化するタブレットや、補聴器や人工内耳を使用している方向けに、音声が明瞭に聞こえるヒアリングループ補聴システムを設置しております。
また、市職員向け研修としまして、平成30年から高知市が広域連携事業で実施している手話研修を年に2名から3名が受講しており、今後も引き続き手話言語に対する職員の理解を深め、ろう者が安心して市役所の窓口に来ていただけるよう、市全体の取組となるよう進めていきたいと考えております。
また、保育所、幼稚園では、手話を取り入れた歌を発表会で披露したり、障害者理解の取組として、絵本「さっちゃんのまほうのて」や「スイミー」を活用しており、また、小学校でも人権学習の一環として、聴覚障害者協会の方を講師に招いて、手話に親しむ機会を設けている学校もございます。
条例制定後は、保育所や学校と連携し、今以上に手話に触れる機会を増やしていくなどの取組を進めていきたいと考えております。
◯林道夫議員
来年4月から企業や事業所に対する障害に関する合理的配慮というのが義務化されてくることになるんですけども、そんなことも念頭に入れてというか、各市内の事業所等についても、特に啓発、そんなことにも取り組んでいってもらいたいなと思うんですけども、そういう点のアプローチとかというのは今のところまだ検討とかはされていないでしょうかね。
◯福祉事務所長
市民、地域の皆様に対する取組としましては、現在、香美市と合同で手話奉仕員養成講座を実施しており、また、手話言語に対する理解を深め、手話に親しんでもらうため、手話体験講座を香南市出前講座のメニューに加えております。
条例制定後は、手話言語や条例の基本理念に対する理解を深めていただけるよう、広報やホームページでの周知を行うとともに、手話に関する講座やイベントを開催するなど、普及啓発を進めていきたいと考えております。市内の事業者の皆様へは、条例制定をきっかけに、さらにろう者が利用しやすいサービスの提供及び働きやすい環境の整備を働きかけていきたいと考えておりますが、現在のところ、具体的に事業者に対してどういうふうに働きかけていくかというところについては、また今後検討していきたいと考えております。
◯林道夫議員
今後企業とかでも合理的配慮というのが義務化されてくる中で、ちょっとした手話の冊子とか、事業所を対象にした講習とか、窓口対応のための講習とか、そんなことも今後考えていただけたらと思います。
12月3日から1週間は障害者週間ということで、今日が7日ですかね。障害者週間のど真ん中ということで、この手話言語条例の制定をきっかけにして、ろう者や手話に対する理解や普及啓発というのを図っていただいて、本当に様々な人たちの声がまちづくりに反映できるような香南市というのを目指していただくようにお願いをして、この質問を終わらせていただきます。
コメント
コメントを投稿