重複・多量投薬者等は医療費のみならず健康リスクも高くなるがその取り組みは? #国民健康保険
【質疑通告】
重複・多量投薬者等への取り組みについて
(1) 国保・後期高齢者医療ともにレセプトデータからの対象者の抽出は行われているか。行われていればその割合は。
(2) 対象者に対する適正服薬勧奨の現在の取り組み状況は。
(3) 28年度からの「在宅服薬支援事業・高知家お薬プロジェクト」モデル事業の取り組み状況は。
(4) お薬手帳や節薬バッグ等の普及促進は。
【質疑本文】
◯林道夫議員
それでは、2項目めの質問に移らせていただきます。
重複多量投薬者のことでありますけども、当然、病気の治療に必要な薬というのは、しっかりと服薬していただく必要というのはあるんですけども、最近の研究で、高齢者等が6種類以上の薬を併用することで、認知機能の低下であったりとか寝たきりに結びつくような合併症のリスクというのは高くなるというようなことが言われております。
この傾向というのが、お薬だけではなくてサプリメントなどについても、やっぱりそういうのを好んでとるような人というのは、薬との作用ですか、の関係でそういうような傾向があるということであります。
これは医療費ということだけではなくて、やはり、患者さん個人の健康状態にかかわることなので、しっかり管理と意識づけというのが必要だと思いますし、薬の飲み合わせ等により症状が悪化すれば、その分、在宅で済むものが入院になったりとか新たな治療が必要になったりとかいうことで、医療費の拡大につながってしまうというようなところもあるので、適切に管理、勧奨していくことが必要ではないかと思うわけですけども、国保とか後期高齢者医療なんかについては、患者さん個人の服薬状況というのは国保連合会の方でレセプトでチェックされているかと思いますけども、こういう重複多量投薬者に関しては、ピックアップというのがなされてリストアップされているのかということ。されている場合には、その人数、割合。
それと、重複多量服薬者に対する適正な服薬勧奨等の取り組みは現在どのようになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
◯市民保険課長
林議員のご質問にお答えいたします。
重複多剤投薬者等への是正に関する取り組みにつきましては、ジェネリック医薬品の使用促進とあわせまして、医薬品の適正使用等の推進を目標とした、県国民健康保険課と医事薬務課が取り組んでいる事業です。
重複多剤投薬は過剰摂取や服薬過誤、相互作用により有効な薬物治療につながらず、かつ健康被害を引き起こす要因となります。
国保は平成30年10月から、後期は平成30年8月から、対象者にお薬情報のお知らせ通知を送付し、啓発に努めています。
通知対象者の抽出方法、また、割合につきましては、通知件数でご報告させていただきます。
入院や精神疾患及びがん治療中の方を除外し、2つ以上の医療機関から処方された14日以上の長期処方の内服薬が6種類以上であり、国保は4カ月以内、後期は6カ月以内に通知をしていない方を前提条件に抽出いたします。
その中から、飲み合わせが悪いなどの相互作用に該当する処方がある方は全員を通知対象とするなど優先順位をつけ、県全体で1カ月当たり、国保は1,000通を年6回、後期は1,500通を上限として年8回送付しております。
香南市の通知者数につきましては、1カ月当たり、国保、後期ともに50通前後となっております。
重複多剤投薬者の送付者情報につきましては市に提供されておりませんので、活用までに至っておりませんが、市に問い合わせ等ありましたら、県国民健康保険課や後期高齢者医療広域連合に常駐しております服薬サポーターにつなげたり、保健師がいる場合は相談等の対応をしております。
対象者に対する適正服薬勧奨の現在の取り組み状況ですが、県国民健康保険課と後期高齢者医療広域連合には、それぞれ薬剤師による専任の服薬サポーターを置き、通知対象者の中から特に健康被害が心配される方などへ電話で説明をするとともに、医療機関、薬局へ相談することへの勧奨を行っております。
県による平成30年度の効果検証によりますと、国保で、多剤投薬24.5%、重複投薬73.6%、後期で、多剤投薬36.4%、重複投薬78.6%が是正されているとの検証がされております。
また、服薬サポーターによる電話勧奨により薬局等へ相談に行くとの回答が得られ、効果が期待できる方が一定数おり、通知効果を高める働きができているとの検証もされております。
県や広域連合の保健師や薬剤師による訪問勧奨を行っておりませんが、医療費適正化事業のため、重複多受診者の訪問指導のために市民保険課で雇用している保健師に、訪問対象者を抽出した際に重複多剤投薬者がいれば、訪問し指導を行うようにしております。
実績につきましては、平成30年度、25人訪問した中で重複多剤投薬者の方が1名おりましたので、訪問指導を行っております。
以上です。
◯林道夫議員
ありがとうございます。自分の理解力がちょっとあれなんですけど、国保連合会等でチェックをされて、それの情報というのは県の方に行って、そこから通知とかいうようなことがされていて、その情報については市の方には来ていないという意味だったのか。それで、最後の方の説明で、抽出した場合には市の方で訪問で対応したというような感じだったと。その辺もう一度説明をお願いします。
◯市民保険課長
ご質問にお答えいたします。
この重複多剤の服薬通知の方は、国保の方に対しましては県の国民健康保険課が国保連合会からのリストをもとに、お知らせ通知をしております。後期の方は後期高齢者医療広域連合の方が国保連合会からリストアップされたものにより、優先順位をつけて服薬の通知をしております。
市民保険課の方で、重複多受診者の方の訪問指導を、医療費適正化事業の方で雇用しております保健師が、毎月、重複多受診者のリストを連合会のものからリストアップした中で、重複多剤投薬者がいれば、その方もリストに上げて訪問をしているというところです。
以上です。
◯林道夫議員
わかりました。お薬の部分と受診の部分という意味だったんですね。なかなかマンパワーの部分で、香南市の方で、後期高齢、市民保険課とかで対応するのは難しいところもあるかもしれないんですけども、仮に市の方からそういう多量投薬者ですか、のリストというか情報をくださいとか言ったら、いただけたりするものなんでしょうか。いただけたりするんでしょうかというより、いただいてそれを活用することが市として可能なんでしょうか。
◯市民保険課長
ご質問にお答えいたします。
現在、市民保険課の方で雇用しております臨時の保健師ですけど、週2回の勤務になっております。その中で、重複多受診者のリストアップ、訪問、それから、それにつきましての報告等をまとめておりまして、あと、それに、健康対策課の方と一緒に取り組んでおります重症化予防の方の訪問もしたりしておりますので、服薬通知者、50件前後といいましてもなかなかの人数ですので、そこまでまだ手が回っていない状況です。
もう少し、週3日とか4日とかという雇用が可能であれば、もうちょっと対応ができるのかなと思うけど、今現状の状態ではなかなか難しいかなと思っております。
以上です。
◯林道夫議員
ありがとうございます。先ほどの前の前の答弁の中で、やっぱり一定、県の方の電話であったり保健師の指導等により、改善の割合というのは30%だったり70%あるということなので、もし本当に、課の方でそういうニーズというか、があるのであれば、また市長等にも言って、日数をふやしていただいて、そういう対応に回していただけるように検討をお願いします。
県の方では、介護・医療の関係者等が連携して在宅の高齢者の服薬状況の改善を目的として、在宅服薬支援事業ですか、高知家お薬プロジェクトというようなものに取り組んでおりまして、平成28年度から先行してモデル事業として、香南市、南国市、香美市の3市が取り組んで、その翌年から、中央東圏域、そしてその後、県全体にこの事業を拡大したということですけども、事業の概要と成果と、もし見えてきている課題等があれば、あわせてご説明の方をお願いいたします。
◯市民保険課長
ご質問にお答えいたします。
在宅服薬支援事業、高知家お薬プロジェクトは、医療・介護関係者から服薬状況の改善が必要な在宅患者に対する情報を薬剤師に提供していただき、薬剤師は当該関係者と連携することで、在宅訪問等、患者個々に合った服薬支援を行う県の事業です。
在宅で療養する患者の増加が見込まれることから、医療・介護関係者が連携して高齢者等の在宅での服薬状況を改善することにより、薬物治療の効果を高めることができます。また、多職種と薬剤師、薬局間の連携強化や、安心して在宅療養ができる環境の整備も目的としております。
内容としましては、処方医との情報共有、情報共有者への状況聞き取り、状況に応じて患者宅への訪問、適正な服薬ができていない理由別の対応、お薬バッグを活用した残薬整理、重複投薬対応に取り組んでいます。
先ほど林議員がおっしゃられましたように、平成28年度は南国市、香南市、香美市をモデル地区に、平成29年度は中央東保健所圏域及び高知市、平成30年度からは県下全域で取り組んでおります。
結果としましては、情報提供者の約80%が70歳以上の高齢患者であることや、残薬発生の主な原因を解明することができました。
薬剤師による服薬支援により残薬の減少につながり、また、適正に服薬できていなかった原因がわかったことにより、適正な薬物治療につながったなどの効果が得られています。
薬剤師の在宅訪問実績につきましては、平成28年度からモデル地区として取り組んだ中央東福祉保健所管内におきましては、調査時から3倍に増加しております。
また、プロジェクトを通して市町村の地域包括支援センターとの地域の薬剤師管理連携が生まれ、地域ケア会議等への薬剤師の参加要請が増加し、地域包括ケアシステムの構築に向けた多職種連携が進んできています。
プロジェクトで明らかになった重複多剤を是正するため、平成30年度より、医療保険者と県薬剤師会が共同で取り組みを進めております。具体的な取り組みとしましては、さきに申し上げました、対象者への通知、服薬サポーターによる薬局への相談勧奨、薬剤師による薬局店頭での高齢患者を中心とした服薬指導の3段階でアプローチを実施しております。
以上です。
◯林道夫議員
ありがとうございます。なかなか成果の上がっている感じなんですけども、ちょっと確認というか、具体的にですけど、市のかかわりとして、今の説明の中では、地域ケア会議の参加が、薬剤師がという話なんですけれども、具体的に市のかかわりというのはどういう状態なのかということと、この情報というのは国保とか後期高齢、保険者たる市の、その辺の情報とのリンクがされているのかどうか教えていただきたいんですけど。
◯高齢者介護課長
ご質問にお答えいたします。
さきに市民保険課長の方から地域包括ケア会議のことが出されておりましたけれども、香南市では平成27年度から地域包括ケア会議を行っておりまして、その中で、介護を受けている高齢者全てを対象というわけでないですけれども、地域ケア会議に出された例の中で多くの薬を飲まれている方については、薬剤師がこの会議のアドバイザーになっておりますので、薬剤師からアドバイスをいただくと。そして、ケアマネジャーの方がそのアドバイスをもとに対象者の方にかかわるというようなことがあります。
ただ、県の取り組みとの関連というところは、特にここではありません。
それと、1つ言いますと、今、県では薬剤師会の方に委託をして、調剤薬局の在宅訪問のアンケートというのをやっています。これが8月から行っておりまして、これの集計が2月をめどにということですけれども、まだできていないようですが、またこれが集計結果が出ましたら、この集計結果をケアマネジャーが見て、在宅訪問ができる調剤薬局を知るということで、またケアマネジャーが活用するということになろうかと思います。
今現在、市の方で多職種連携という観点からでの県の事業との関係というのは、特にはございません。
以上でございます。
◯林道夫議員
ありがとうございます。当然、多剤服用というのは当事者の健康管理というか、そこがメインになってくるんですけど、やはり、保険者としての香南市としては医療費とのかかわりというところもあると思うので、また本当、連携をしながら薬価関係の医療費の削減ができるように、また検討いただきたいと思います。
今、3の高知家お薬プロジェクトなんかについては、主に高齢者ということが、在宅の介護とか高齢者の方が対象となっているんですけども、やはり、多剤服用とかというのは、結構若い、現役世代の方でもそういう傾向にある方というのもいるかと思うんですけども、市の医師会、薬剤師会とかも連携しながら、市独自というか市の圏域でこういうお薬手帳の普及であったり、先ほどのお薬プロジェクトの中でも、残薬節約バッグですか、の普及等もされているというようなことがあったんですけども、市としてそういう被保険者に対する多剤服用の是正とか、そういう取り組みというのがあるようでしたら、お知らせいただきたいと思います。
◯市民保険課長
ご質問にお答えいたします。
重複多剤投薬者が発生する原因としましては、複数の医療機関等にかかり、それぞれの薬局等でお薬を処方してもらうことにより発生いたします。
対策としましては、かかりつけ薬局を持っていただく、また、お薬手帳は1冊で管理することで、服薬の一元管理ができ、重複多剤投薬を防ぐことができます。
現在、県では県薬剤師会と委託契約による医薬品適正使用に関する医療保険者に対する総合的な支援を実施しており、被保険者の適正な服薬を促進するための取り組みを行っております。
その中で、お薬手帳カバーや残薬を減らすためのお薬バックを薬局に無料配布し、必要と思われる方に指導及び配付をいただいているようです。
また、新聞、テレビ、県広報誌等を活用した事業周知や、薬局店頭でのポスター掲示等、普及活動を実施しております。
市としましても医療費適正化の取り組みの一環として、医療費の適正使用につきましては、広報誌やホームページ、通知等の機会に啓発してまいります。
以上です。
◯林道夫議員
ありがとうございます。そういうことだと思いますけど、引き続きよろしくお願いします。
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