三嶺の台風一過景色(高知)
(山 名) 三嶺(さんれい・みうね) 標高1893m
(所在地) 高知県香美郡物部村・徳島県東祖谷山村
(日 付) 1997年6月29日(日)
(天 候) 台風一過の快晴、やや北風つよし
(メンバ) 男2名(Oさんと源気くん)
(コース) 光石登山口→長笹谷上流分岐→さおりが原→カヤハゲ→三嶺頂上往復
『山行記』
1ヶ月ほど前から三嶺山頂のコメツツジを見に行こうと計画していたが、週末に近づいてきた台風8号。(^^; ”今回は中止になるかな・・・”とあきらめかけていたら、どうやら土曜日中に通り過ぎてくれそうだ。
朝4時20分。目覚ましより早く目が覚める。今回は妻と娘を残して、不良パパだけで遊びに行くので、夕べのうちに妻が作っていてくれたおにぎりを食べながら、まだまだ夢の中のお嬢さん達を起こさないように、静かにごそごそと山の仕度を整える。
5:00 これまた、来月に奥様の初出産をひかえているというのに、山好きの奥様をほったらかして出産前最後の登山を許してもらった不良旦那のOさんが迎えにきてくれた。
大栃に向かう国道195号線では、昨日の台風が吹き飛ばしてくれた雲一つない青空から、真正面に太陽が向かってくる。県道久保大宮線を経由し林道に入ると、路上には台風に飛ばされた枝や倒木、土砂などがあったが、通れないほどではなかった。そんな中でも昨日の風雨に耐えた紫陽花がきれいに咲いていた。
6:15 光石登山口の駐車場には本日一番乗りのようだ。今回の台風は我が家の方ではそれほど雨を降らせなかったが、さすがに山には多量の水をもたらせたらしく、山全体がゴーゴーと谷音を響かせていた。
6:30 トイレをすませていざ登山開始。ロングスパッツをつけて歩き始めた。
堂床のキャンプ場に下るまでの間にも小さな流れが3つもできていた。
「こりゃぁ~今日はフスベヨリ谷のコースは水が多くて渡れないんじゃないかな!?」
とOさんが言う。なるほど木戸の河原も水の下であり、ゴーゴーという谷の水音でOさんの言葉が聞き取れないほどである。
6:50 フスベヨリ谷と長笹谷との合流点のすぐ上流の橋を渡り、フスベヨリ谷沿いに少し登るとさおりが原との分岐である。右に折れジグザグに急坂を登ってゆく。谷の轟音が少しずつ遠ざかってゆく。でも今日はけっしてどこにいても谷音が聞こえなくなることはなかった。
7:05 ひとしきり登ったところで小さな尾根に出たので、休憩にして、朝の残りのおにぎりを一つ詰め込む。周りにあるのはアセビの木だろうか?
ここからは緩やかに林の中をミソサザイやホトトギスの声を聞きながら気持ちよく登ってゆく。
7:40 さおりが原到着。Oさんは、
「今までにこのルートは5・6回来たことがあるけど、さおりが原に水が流れているのは今日初めて見たよ!」
とのこと。どれも川幅は狭いものの、膝下10cmくらいの沢を3度ほど徒渉した。
さおりが原にはベンチとトイレなど休憩所があり、秋の紅葉の頃など名の通りロマンチックな雰囲気のあるところらしい。もっともこのさおりが原という名前は20年ほど前に高知大学のワンゲルの人たちが当時のアイドルの南さおりの名前からとったらしいが・・・
さて、もし今の大学生だったらどんな名前を付けるのだろうか?”あむろが原?”それとも”ぱふぃ~が原?” (?_?)
僕だったらやっぱり”春凪が原(^^)”かな!? (^_^)々
まあ今日のところはしょうがないので男二人でベンチに腰掛けてコーヒータイムとした、 (^_;)
10分ほどの休憩ののち歩き始め、Oさんの秋のお薦め紅葉ポイントを通り過ぎ、ブナやケヤキの大木が立ち並ぶ中を少し登るとニロウ越との
8:18 分岐にでる。そこから5分ほどで今度は三嶺とカヤハゲの分岐に出るが、これはカヤハゲの方に進む。三嶺の方に進むとフスベヨリ谷のコースに合流するらしいです。
分岐を過ぎる頃から通る人も少ないのか、笹やいばらがうるさくなってくる。
8:45 尾根に出て少し明るくなったところで休憩にしようかと思ったが、小さな虫がまるで空気の1分子のように細かく飛び交っており、目や耳、鼻に飛び込んできて、とても休むどころではない。(^^;
歩きながら道ばたのブナの幹に手を触れると、昨日の雨を思いっきり吸い込んでいるのかみずみずしくひんやりとして気持ちがいい。遠くでコマドリの声もしてるではないか。(^^)
ところどころ左手の展望が開けたところに三嶺や西熊山、綱附森などのヴューポイントがある。
9:30 高い木が目立たなくなり、傾斜も緩やかになってくると程なくカヤハゲに到着した。すぐ目の前にどっしりと大きな三嶺がある。スパッツはもうぼろぼろ、かなりズボンも濡れてしまった。半袖シャツからはみ出した腕にはいばらや小枝に引っかかれた無数のひっかき傷が・・・。
「これじゃぁ、嫁さんに”源気くんと変な遊びしてきたんじゃないの?”って疑われちゃうよぉ。(^_-」
と新婚のOさんがぽつり。
(案外僕って信用内のかな? (^^; )
カヤハゲには白髪山への分岐や剣方面への縦走路の分岐がある。
またにぎりめしを一つ口に放り込んで目の前の三嶺目指して歩き始める。”あらあらせっかくここまで登ってきたのに、こんなに降りちゃうのぉ~!(^^;”っと思うほど、カヤハゲからは急な下りがすこし続く。下りきってからはルリビタキの声を聞きながら・・・(なんて(^_^)々、そんなに余裕があったわけではないが (^^; )、笹の茂る稜線を緩やかに登り、大きな岩の下を右に巻いて、山頂への最後の岩の急坂である。足元が少し悪いが、鎖がかかっているので、思ったほど苦労はしなかった。そこを過ぎるともう山頂での話し声や昼御飯のにおいが風に乗って漂ってくる。
10:55 三嶺山頂到着。Oさんは今日の雲一つない360度の好展望に大満足のようである。風もゆるやかであり、谷からの轟音も山中に響いている。
Oさんと握手をしてから、冷えたビールで乾杯!
・・・おっとそうだった、今日は山頂のコメツツジを見に来たんだった。(^^;
ところどころ小さな花を付けているが、やっぱりまだ1・2週間くらい早い感じでした。TVアサヒのカメラマンもカメラを担いで徳島側から上がってきて、山頂のコメツツジを写しているようでした。
11:50 10分ほど山頂での昼寝を楽しんだのち下山にうつった。
・・・っと、いきなり登山道にせり出した岩角に弁慶の泣き所を強打!
あまりの痛さに、もうただ笑うしかありません。 (^_;)
乾杯のビールのほろ酔いも昼寝のまどろみも一気にぶっとんで、気を引き締めなおして、山頂からの急ながれ場を鎖をつかみながら慎重に下る。尾根筋をひとしきり下ってからのカヤハゲへの登りはなおさらきつく感じる。 (^^;
12:40 カヤハゲで息を整えてから、また歩き始める。白髪山頂には人影はないようである。再び笹道へ突入である。
周囲をブナやダケカンバに囲まれだすと、そこからは蝉時雨が永遠と降り注ぎ、歩いていても催眠術にでもかかりそうである。ときどき倒木にけつまずいて現実に引き戻されるようで、坦々と下っていたのであんまりこの辺の記憶がありません。 (^_^)々
13:35 さおりが原の休憩所の手前の沢で休憩して、水をくむことにした。雨が降ったばかりの沢だったので、ちょっと水質に不安はあったが、さすがに口に含むと冷たくておいしい。
Oさんが水割り用の水をおみやげに詰め終わったので、歩き始めると、頂上以外で本日初めての登山者とすれ違った。彼はさおりが原周辺の写真を撮りにきているようである。
Oさんは今回のルートは、もう5・6回は来ているが、とにかく他の登山者が少なくて静かなところが気に入っているらしい。
14:40 気持ちのいい森林散歩のような道をゆっくりと下り、最後に沢音めがけて高度を下げるとフスベヨリ谷のルートに合流する。そこからは相変わらずの轟音に沿って駐車場を目指す。
14:55 駐車場の手前の水場で顔を洗って、本日の歩程を思い返し、下山を完了した。
16:25 自宅着。あれっ! また締め出しを喰っちゃったみたい。 (^^;
しょうがないからいつものように窓から入るか! (^_^)々しかし、山は早く行って早く帰ってくるにかぎるなぁ~。 (^_^)
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今回のさおりが原、カヤハゲ経由のルートは、距離が少し長いものの、山頂手前の鎖場と、帰りのカヤハゲへの登りがちょっときついくらいで、それほど急な登りが続くということはなく、きつくなる手前で傾斜が緩やかになるというのの繰り返しなので、比較的疲労はしなかったような気がする。
ただ、通る人も少ないせいかカヤハゲ三嶺の分岐をすぎてから、カヤハゲまでのあいだは笹がだいぶのびてきており、ところどころルートがわかりにくいところがありました。
秋の紅葉の頃にでもまた来てみたいようなコースでした。 (^_^)
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